2017年8月2日 集団遺伝学1

概要:集団遺伝学1(高畑尚之)

集団遺伝学は交配可能な同種個体の集まりを対象として、その集団の遺伝的構造を支配する法則、構造が変化するプロセス、あるいは変化してきた過去を再現するための方法などを研究する。集団の遺伝的構造は、変異が可能な複製要素(塩基座位、遺伝子、ゲノムなど)とそれら要素間に存在する相互作用のために、全体が進化するシステムとなっている。進化のメカニズムは変異の生成、変異の組合せ、および変異の選択の3つに大別できるが、変異の生成がDNAの複製や修復と関係した分子レベルのメカニズム(単純な塩基置換の他に、組換え、不等交差、遺伝子変換、逆位、転座、挿入や欠失、遺伝子重複、倍数化など)であるのに対して、変異の組合せ(交配様式や地理的構造)や変異の選択(自然選択や遺伝的浮動)は相互作用に直結した集団レベルのメカニズムである。集団遺伝学1のねらいは、このような分子レベルと集団レベルのメカニズムを定量的に理解できる知識を身につけることである。また、ゲノムデータには進化のメカニズムや集団の歴史が刻まれているが、その解読には広いゲノム領域におよぶ連鎖非平衡に関する知識が必須である。このため講義でも連鎖に関する基礎的なことがらに重きをおく。ただし、中立説に代表される分子集団遺伝学や集団ゲノミックスで中心的な役割を果たす遺伝的浮動の理論(コアレセンス理論)については、集団遺伝学2および中立説を別途に設けるほか、パソコンを活用した実習も行う。

 

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